Menu

ウサギとの暮らし方~食餌管理 牧草編~

みなさん、ウサギさんにどんな牧草をあげていますか?

一言に「牧草」と言っても、いろいろな種類があって迷ってしまいますよねウサギさんの健康を守る上で、とっても大切な役割を担う「牧草」そこで、みなさんの愛するウサギさんに代わってお願いです

これだけは知ってほしい!幸せなウサギ暮らしには「牧草」がなくてはならない3つの理由

1:ウサギさんのごはん(主食)=牧草!

元気にぴょんぴょん動き回る、とってもキュートなウサギさん体は小さいけれど、立派な筋肉と瞬発力、優れた身体能力の持ち主ですそれを生み出すには、たくさんの材料、つまり体を作ったり、動くエネルギーの源を取りいれることが不可欠なはず。しかし、ウサギさんのごはん(主食)はなんでしょうか?

…そう、牧草です!

私たちが食べているご飯と比べると、ずいぶん栄養に乏しそう…もっと栄養のあるもの、食べなくて大丈夫なの?

完全草食性の私たちにとって「牧草」はごちそうだよ!″

ウサギさんは、草や木の葉を食べる「完全草食性」です。その秘密は、ふわふわのお腹の中にある、非常に優れた消化管!特に大きく発達しているのは「盲腸」です。そこには、微生物がたくさん!なんと、ウサギさんに必要なビタミンやタンパク質などを作り出してくれます栄養に乏しい草からエネルギーを生み出せるのは、微生物のおかげそんな微生物さんの元気の源は、ウサギさんが食べてくれた繊維さらに、繊維はウサギさんの腸の動き(蠕動)を良くしてくれます!

微生物さんに頑張ってもらったり、腸の蠕動を促したりするために、繊維たっぷりの牧草で、良い腸内環境を保ちましょう!

2:繊維たっぷり〇〇科の牧草で腸健康!

正直、私たちにも「どの牧草が一番か?」はわからないです…ごめんなさい。

というのは、その子その子によって食の好みが違うから実は、私たちより味覚や嗅覚がずっと敏感なウサギさん、とってもグルメです…いくら評判の良い牧草でも、ウチの子が嫌いで食べてくれなければ、残念ながら「一番良い牧草」とはいえません

ただ、自信をもっておすすめしたい牧草があります

それは…イネ科の牧草!

イネ科の牧草にもたくさん種類がありますが、ここではチモシー、オーツヘイについて簡単にご紹介しますね。

・チモシー(オオアワガエリ)

春から秋にかけて2、3回収穫ができる多年草。収穫できる時期が長いため、安定して手に入りやすいことも魅力的いざという時に入手しやすいのは安心ですちなみに…「チモシー」の名前は、18世紀の初めにアメリカに輸入したチモシーさんの名前からとったそうです。イギリスではCat’s tailたしかに穂の部分がネコちゃんのしっぽみたい!また、チモシーは、刈った時期によって以下のように分けられます。

1番刈り:春から初夏にかけて収穫されたもの。茎が太く、食べ応え◎!繊維も豊富

2番刈り:一番刈りを収穫した後で成長したものが二番刈り。夏の終わりから秋にかけて収穫。茎が細く、柔らかめ。

3番刈り:冬の初めに収穫されたもの。茎は細く、ほとんどを葉が占めているためとても柔らかい。硬い牧草が苦手な子におすすめ!

1番刈りが高繊維ですが、これでなくちゃ!とこだわらなくて大丈夫繊維量に差はあれど、2番刈り3番刈りの繊維だって、ちゃんとウサギさんのためになってくれます

・オーツヘイ(オートムギ、エンバク、カラスムギ)

種はオートミールの原料。また、ネコちゃんが猫草として食べるのも、実はオーツヘイ!他の牧草と比べると甘いため、ウサギさんの食欲がないときのおやつとしても◎。繊維たっぷりなので、大きくて素晴らしいウンチをしてくれます

その他のイネ科の牧草としては…オーチャードグラス、イタリアンライグラスなど…

同じイネ科でも、繊維の量をはじめ、様々な違いがあります。ですが、「イネ科」であれば、どの牧草も十分に高繊維!ウサギさんにバッチリのごはんです

また、アルファルファなどのマメ科ほどにタンパク質やカルシウムが多すぎることはありません。

カルシウムは大切なミネラルの1つですが、余ったカルシウムを尿から出すウサギさんは注意が必要たくさん取りすぎてしまうと、尿の通り道にカルシウムの石ができてしまうことがあるのです。

ウチの子の牧草一番は、ぜひ「イネ科」の牧草から探してあげてください!いろいろ試して、お気に入りを見つけてあげられるのも、ご家族のみなさんだけ!グルメなウサギさんと暮らせる喜びですね

 

3:ウサギさんの歯はすごい!

ウサギさんの歯はすごいんです!一生伸び続けるんです!牧草をすり潰して削れても、また伸びてくれるおかげで、ずっと牧草を食べられる

ウサギさんが一生懸命に牧草を食べている様子を見ていると、下の顎が「横(水平)方向」に動いているのがわかりますか?

これがウサギ本来の歯の動き!おかげで、奥の歯は全面がすりあって一定の長さを保っています(下図参照)。この奥歯は、繊維をすり潰す「臼」のような役目を持っています。その名も「臼歯」!

せっかく「歯を一生伸ばし続ける!」という、私たちにはない素晴らしい能力をもっているのに、本来の歯の動きができない食べ物ばかり食べていると、どうなってしまうでしょう?例えば、ペレットなどの塊状のものばかり食べていると…

牧草の様にすり潰す必要はなく、塊を崩すために、顎は「縦の動き」ばかり繰り返します(下図)。

すると、すり減っていくはずの歯が、そのままどんどん伸びてしまいます(下図)。

伸びすぎた歯では食べにくくなってしまうだけでなく、不適切に削れて尖った臼歯の先端が、ウサギさんのほっぺや舌を傷つけてしまうことも…痛くて食べたくても食べられません

牧草だけでなく、ウサギさんの大事な栄養源、盲腸便を食べられなくなってしまう子もいます。ウサギ本来の食餌をできないことで、悪循環に陥ってしまいます…

逆にいえば、本来の繊維たっぷりのごはん=「牧草たっぷりの食餌」を心がけるだけで、病気の予防になり、健やかなウサギさんの暮らしを守ってあげられるのです!

今回は以上の3点、ウサギさんの主食は牧草、イネ科の牧草は繊維たっぷりで理想のごはん、そして、歯の健康維持にも牧草が欠かせないことをお伝えしました!ウサギさんの牧草の大切さについて、少しでもわかっていただけたら何よりです難しく考えすぎず、まずはこの3つを心がけて牧草を選んでみてください。

たっぷりの愛情は、たっぷりの牧草でそれがウサギさんにとっても飼い主様にとっても、きっと幸せにつながると思います。

解決できないお悩みを抱えていらっしゃる方は、ご来院の際にご相談いただけると嬉しいです!

これからも、ウサギさん思いの心優しいみなさんと一緒に、幸せなウサギ暮らしを考えていきたいです