みなさんは、どんな季節がお好みですか?…みなさんそれぞれ、お好きな季節があるかと思いますでは、お家のウサギさんはいかがでしょう?一緒に生活していて、気候による体調の変化を感じることはありますか?
今回は、ウサギさんがニガテな、暑い季節を健やかに過ごすための工夫について、お伝えします
まずは、ウサギさんの体温調節の仕組みや、野生での生活環境を知って、暑さ対策を考えましょう!
ウサギさんの体温調節
環境の温度が変化しても、一定の体温を維持するための仕組みは、動物によって様々ですでは、ウサギさんに特徴的な、体温調節の仕組みは何でしょう??それは…
大きな「お耳」!
その大きさの理由は、主に2つです1つは、より多くの音を集めるため!素早く危険を察知すると同時に、音の聞こえる方向を判断して、敵から逃れるのに役立ちます
そして、もう1つの理由は、「熱の放散」です
ウサギさんのお耳は毛が薄く、さらによく見ると、血管がたくさんありますよね!
暑い時には、耳の血管を広げることで、効率よく血液を冷やします
一方、私たちは暑い時、汗を出して体温の上昇を防ぎますヒトは、ウサギさんの様に全身ふわふわではありませんし、汗の水分とともに全身から熱を逃がすことができます
しかし、ウサギさんは、汗による体温調節はできません(ウサギの汗腺は口唇部、耳の内側にわずかに分布しているのみ)。
さらに、ワンちゃんのの様に、ハァハァと舌から水分を蒸発させる、パンティングによる放熱もできません(※ウサギさんは限界まで口呼吸をしないため、口を開けて喘ぎ呼吸をしていたら、かなり危険な状態です
)
以上のことから、ウサギさんは、私たちよりも暑さに弱いのです
薄明薄暮性
野生のアナウサギは、薄明薄暮性。つまり早朝(薄明)・夕方(薄暮)に活動し、日中は、巣穴の中で過ごします。ウサギは気温の変化に弱いため、巣穴の中で暑さや寒さをしのぐことができます
そのため、ご家庭のウサギさんは、飼主様による管理が必要です!四季の寒暖差がある1年を通して、最適な温度になるようにしましょうまた、気温は季節の移り変わりだけでなく、1日のうちでも、大きく変化します。ご家族の皆さんがご不在の日中や、就寝時にも、温度管理はできていますか?
ウサギさんの熱中症
ウサギさんに限らず、熱中症は非常に危険な病気高体温(42~43度)において、細胞破壊が生じるまでの時間は、ほんの数分…壊れてしまった神経細胞は、元に戻せません…
また、熱中症では、血を固める働きにも異変をもたらします(播種性血管内凝固壊死)。生命にかかわる重大な病気、飼主様がウサギさんを守らなくてはなりません!
ウサギさんの暑さ対策例・注意点
●空調管理(エアコン)
ウサギさんが快適に過ごせる環境温度は、室温18~23度とされています。これ以外でも適応することはありますが、28度以上になったら危険ですお家で暮らすウサギさん、つまりアナウサギの英語名は European Rabbit、乾燥したヨーロッパ出身です
そのため湿気もニガテで、高すぎる湿度は、皮膚のトラブルの原因にもなります!湿度は40~60%を目安に管理しましょう
ウサギさんの居場所の近くに、室温・湿度計を設置して、実際の環境をチェックしましょう!最適な環境は、ウサギさんの年齢や体調によっても変わります。例えば、子ウサギや高齢ウサギの場合は、冷房の効き過ぎで寒くなりすぎないように気をつけてください体調をみながら、その子に合わせた配慮が必要です
また、エアコンの衛生管理も大切です不衛生な状態での使用は、細菌やカビなどで汚染された空気を送り込むことになり、ウサギさんの呼吸器疾患の原因となり得ます
気温が下がる時間帯には、換気を行い、新鮮な空気を取り入れましょう!
●送風機を使用する場合
風が直接ウサギさんの身体に当たらないように、空気が循環するように使ましょう!
●ケージの場所
日の高さが変わっても、1日中日陰で過ごせる場所を選びましょうウサギさんの居場所に直射日光が当たっていないか、確認してください
●飲水
新鮮なお水はいつでも飲めるようにしましょう!お水を飲みやすい環境作りのために、給水ボトルとお皿を併用してあげたり、水分たっぷりの生野菜を適量あげたりしてみてください🥬!
これからの暑い季節、ウサギさんの熱中症予防は必須です!ウサギさんのために、ご家族の皆様でのご協力をお願いします
獣医師O